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山陰あすねっと
くろすろーど第23回定例会(学習会&懇親会)
テーマ「新会計基準”超”入門〜会計ビッグバンってなに?」
全体写真 講師
このたび9月23日に、メンバーや関係者のみなさんのお陰をもちまして、くろすろーどは満3歳を迎えることができました。そこで今回3周年記念日にあたる9月23日(秋分の日)に23回目の定例会を行いましたが、3連休の中日に関わらず60名以上のメンバーが出席されました。(人数が多くて2次会でいつもの居酒屋の厨房がパニックになってましたが…)常連さん、新人さんとも本当にたくさんのご出席ありがとうございました。
おそらく関西では参加人数No.1の若手異業種交流会系の社会人サークルになりつつあるのではないでしょうか?(まだ語弊があるかな?)4年目は参加人数よりも、活動の活発さと会の居心地、メンバーの意識の高さという点でもNo.1を目指していきたいものです。


第23回くろすろーど定例会 〜学習会 くろすかうんたー その16〜

日時:2001年9月23日(祝) 13:20〜20:00(17:10から懇親会)
場所:神戸国際会館第7・8会議室
講師:村上慶一さん(税理士…ホームページはこちら)
テーマ:「新会計基準”超”入門〜会計ビッグバンってなに?」
参加者:65名(学習会56名・懇親会58名)


[ 学習会 ]

PART1:会計ビッグバン

ビックバンとはもともとヨーロッパで起こった金融大変革。
日本は後を追って1995年(平成7年)ごろから始まった

1.日本版ビッグバン

日本版ビックバンの2本柱
○金融制度の大変革。(金融自由化)
  例:証券会社の手数料を自由化・大蔵省(現財務省)の規制緩和
    =「投資家は自己責任で」
  ↓
○会計制度の大変革。(=会計ビッグバン)

2.会計制度とは

企業の実態を外部の投資家や債権者(銀行など)に伝えるためのルール。
(商法、証券取引法、企業会計原則、公認会計士協会による実務指針etc)
→ 財務諸表の作成基準

  ▼財務諸表については第19回定例会のレジュメを参照

3.従来の日本の会計制度、会計基準

財務諸表が会社の実態(本当の姿)を正しく反映していない。
→信用されない

これまで倒産するまで企業の実態が把握できなかったこともある。
つい最近まで公表されている財務諸表の「この財務諸表は日本国内の会計基準によって作成されている(言外に、諸外国の方は信用しないでください)。」の文言が入っていた。

それではいけないので…

4.国際会計基準(IAS[International Accounting Standard])

新しい会計基準は国際会計基準の考え方を多く採り入れている。
全世界の会計士団体が集まり作成したアウトライン。

PART2:連結中心会計

1.連結財務諸表中心の情報開示


個別財務諸表中心の情報開示から連結財務諸表中心の情報開示へ。

 個別財務諸表 = 会社(法人格単位)ごとに作成される財務諸表。
 連結財務諸表 = 子会社や関連会社を含めた企業集団全体を1つの会社として作成した財務諸表。

いままで連結財務諸表はなかったわけではない。主従の関係が変わっただけ。

2.なぜ連結財務諸表が必要か

個別財務諸表では企業集団の状況の一部しか反映されない。
(例:製造親会社と販売子会社)

極端な話、製造親会社の過剰在庫を販売子会社におしつけることにより、公開している製造親会社の財務諸表が利益をあげているようにに見せることもできる。

3.連結対象範囲の拡大

形式基準から実質基準へ

形式基準は持ち株比率(議決権)で50%超子会社、20%超で関連会社としてカウント。ただし決算直前に株を売るなど連結決算対象から外すことも簡単。例:山一証券の「とばし」
   ↓
実質基準は実際に支配や影響が及んでいるかどうかで判断。取締役会の意思決定権をほぼ掌握しているかなど。

4.連結財務諸表が経営に与える影響

○連結経営

●グループ全体での効率があがるような経営を求められるように。子会社に余剰人員や不採算部門を押し付けることも不可能。
●純粋持ち株会社という発想
いままでは親会社が分野の違った子会社のことも考慮にいれなければならない状態。
そこでグループ内すべての企業の経営を把握するだけの(株を持つだけの)会社の設立
=持ち株会社…最近は経営統合のためにも持ち株会社の方法が用いられている。

○今後は連結納税への流れが加速

現行税制上、子会社の赤字は親会社の利益→納税額に影響しない。
連結納税の導入には財務省が難色(税収の減少)
ただし税制は経済に対し中立であるべき→さらに導入に向け検討が進む予定

5.適用時期…2000年3月期決算より連結中心へ

PART3:キャッシュフロー計算書[cash flow statements]

1.キャッシュフローとは


キャッシュ= 現金+現金同等物(3か月以内に現金化できるもの)
キャッシュフロー = キャッシュの出入り

2.なぜキャッシュフロー計算書が必要なのか
  (いままでもなかったわけではない 例:資金収支の状況)

(1) 会社に”お金を増やす力”がどれだけあるのか、その情報を貸借対照表と損益計算書からは直接的には読みとれない。

(2) 利益 ≠ お金
  利益…権利ベース・受取手形(100年後の期日の手形をもらっても利益)
  お金…実際につかえるもの
  よってキャッシュフローの良し悪しは利益の大小とは関係がない。

(3) 操作性と客観性
  利益…操作可能(脱税・粉飾決算)
  お金…客観性が高いので操作しにくい。
  「利益は主観、お金は客観」

3.キャッシュフロー計算書の構造(直接法)
営業活動によるキャッシュフロー
販売先からの入金 800
仕入先への出金 ▲500
300
投資活動によるキャッシュフロー
倉庫建設費支払 ▲400
有価証券売却収入 10
▲390
財務活動によるキャッシュフロー
長期借入金による入金 200
短期借入金返済 ▲70
130
 
現金及び現金同等物の増加額 40
現金及び現金同等物の期首残高 100
現金及び現金同等物の期末残高 140

なにが読み取れるのか?
営業活動によるキャッシュフロー=本業での利益
投資活動によるキャッシュフロー=投資への姿勢
財務活動によるキャッシュフロー=どのようにお金を集めてきたのか?

4.適用時期…2000年3月期決算から作成義務づけ

PART4:退職給付会計

1.退職金とは


従業員が退職したときに支払うお金
     ↓
将来の支出(既に発生している債務)
     ↓
財務諸表に費用・負債として計上する必要がある。

2.従来の制度の問題点

○退職金の支払債務について会計処理が行われていたが、必要額に対して多額の不足があった。…簿外処理
(←法人税法の規定で必要額の20%しか損金(=経費)が認められないよって実際には20%分の処理しかしていなかった。→本末転倒「経営者が税法の規定を粉飾に都合良く利用した」)
○退職金の積立方法(引当金方式、年金基金方式)によって会計処理が異なっていた。引当金方式と年金基金方式の2つの会社の比較ができない。
○年金基金に掛け金として積み立てたお金(年金資産)の状況が、財務諸表から読みとれない。将来的に会社が運用の資産失敗などで約束した退職金額に足りない場合に会社が責任をとる場合、その負担額が見えない。

3.新しい制度(退職給付会計)では

(1) 退職金の支払債務をその発生に応じて、毎期適切に計上する。

(2) 積立方法に関係なく同じ会計処理を行う。

(3) 年金基金方式における、年金負債(積立不足額)が貸借対照表に計上(オンバランス)される。  ※ 現在計上されない状態=オフバランス

4.適用時期…2000年3月期決算より導入
      ただまだ処理ができていない会社がほとんど。
      新基準導入による引当て不足は15年間で費用として処理すると
      いう猶予。

PART5:税効果会計

1.会計と法人税法


会計の目的…会社の実態を財務諸表等によって公開する。
法人税法の目的…税収確保、公平課税、産業政策。
会計と法人税、目的は違うが損益計算書で同じ土俵にあがってきてしまう。

2.確定決算主義

現行の法人税は、会社の損益計算書で計算された利益に一定の調整を加え課税所得を計算し、それをもとに税額を計算する仕組みとなっている。

3.従来の制度の問題点

損益計算書に計上される法人税等の額は、税法独自の目的に従って計算されるため、会社が会計の目的に従って計算した税引前当期純利益と対応しない。税引後の利益が、会社の業績評価の指標としての意味を持たない。

4.税効果会計による調整

税法上当期に係る法人税等として計算されたもののうち、会計上翌期以降の事業年度に対応する部分(会計的には前払いした税金)を損益計算書上減額し、繰延税金資産として貸借対照表に資産計上する。(「法人税等調整額」という項目を用いて減額)

5.適用時期…2000年3月期決算より導入

PART6:時価会計と減損会計

1.時価会計


これまでは「含み益」「含み損」の経営=はっきりさせるべき。
時価会計とは、資産負債について時価評価すべきものを時価で評価する会計をいう。→ 財務諸表で金融資産、金融負債を時価で計上する。

○時価評価される資産

(1) 有価証券、投資信託、ゴルフ会員権
      ※持ち合い株式は2001年9月より時価で
(2) デリバティブ(→デリバティブの手段とヘッジ対象の両方を時価評価)
(3) 金銭債権(→貸倒引当金…信用リスクも加味して時価評価)
      ※不良債権処理の問題

○適用時期…2000年9月中間期より導入

2.販売用不動産の時価評価

売れ残り不動産も時価で。(時価というものを算出するのも難しいが)しかし不動産業者の中には売れ残ったリゾートマンションも従業員の福利厚生施設として固定資産に振り替えたところも。
=時価評価から除外

○適用時期…2000年9月中間期より導入

   ↓そこで…

3.減損会計

固定資産(事業用資産)が減損したときに、貸借対照表上の固定資産の金額を減らす会計をいう。

※ 減損とは…
 「固定資産の帳簿価額 」> 「その固定資産によって得られるお金」となっている状態をさす。

従業員の福利厚生施設などにも適用される予定。

○適用時期…近く導入される予定

〔参考文献〕
天野敦之 著 「会計のことが面白いほどわかる本(新会計基準の理解編)」
        中経出版
茂腹敏明 著 「未公開会社の会計ビッグバン」清文社
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