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くろすろーど第24回定例会(学習会&懇親会)
テーマ「健康診断の基礎知識
〜健康診断の必要性を知り検査結果の読み方を理解して生活習慣病の予防に役立てよう〜」 |

去る11月25日(日)は神戸の国際会館会議室において、今年最後の勉強会形式の定例会が行われました。今回はくろすろーどスタッフで製薬メーカーの研究員をされていらっしゃる増田景一さんに、健康診断に関する基礎知識と生活習慣病の予防法についてのお話をいただきました。今後は喫煙・飲酒を控え、バランスのとれた食事、適度な運動、規則正しい生活を心がける必要がありそうです。
第24回くろすろーど定例会 〜学習会 くろすかうんたー その17〜
日時:2001年11月25日(日) 13:30〜19:00(17:10から懇親会)
場所:神戸国際会館第7・8会議室
講師:増田景一さん(製薬企業研究員)
テーマ:「健康診断の基礎知識
〜健康診断の必要性を知り検査結果の読み方を理解して生活習慣病の予防に役立てよう〜」
参加者:57名(学習会45名・懇親会52名)
[ 学習会 ]
1.なぜ健康診断が必要か?
健康診断の目的は,生活習慣病などの疾病を早期に発見し,早期治療につなげる(二次予防)ことです。健康診断の結果は,無口な体が発する小さなメッセージです。自分の体の声を聞くため,定期的に健康診断を受けることが大切です。
●健康診断はどこで受ければよいか?
職場での定期検診の他,市町村が住民検診を実施しています。自営業者や無職の方を対象に,わずかな自己負担(自治体によっては無料)で受診することができます。実施時期や対象者(年齢等)が決められている場合もあります。
また,最近は郵送で検診を受けることができるサービスも登場しています。
●健康診断を受ける際に注意すべきことは?
健康診断は,自分の普段の健康状態をチェックするために受けるものです。検診の前だけ規則正しい生活を送りお酒も控えるという態度は,あまり望ましくありません。もちろん,生活習慣病等の一次予防のため,常に食生活や運動などに注意することは大切なことです。
2.健康診断結果の読み方
●「正常値(基準範囲)」とは?
それぞれの検査項目について,多くの人の検査データに基づいて決められた,健康な人の大部分がその値になるという範囲です。ですから,基準範囲内であっても病気の人がいたり,その範囲から外れていても健康な人もいます。
●「要精検」と言われたら?
精検とは精密検査のことです。つまり,健康状態をチェックするため,より詳しい検査をする必要があるので,検査を受けて下さい,ということです。病気の早期発見・早期治療という健康診断の目的からも,指示があれば,早めに精密検査を受けることが大切です。
精密検査の結果,異常なしとわかることもあります。「要精検」と言われたショックとストレスから,正常だった部分にも影響がないようにしましょう。
●「異常なし」であっても注意すべきこと
異常がないというのは,あくまでも,今回受けた検査の結果からは特に注意すべき所見がなかった,という意味です。現在の健康状態に問題がなかっただけで,将来も健康であることを保証している訳ではありません。引き続き,健康管理には注意が必要です。
また,基準範囲内であっても,過去の検査値と比較してどうなのか,悪くなりつつある検査値はないか,についてチェックすれば,それをもとに生活習慣の改善につなげることもできます。
いずれにしても,自分だけで判断するのは禁物です。健康診断の結果について,医者から指示や指導があれば,それを守るように心がけましょう。
●健康診断で行われる検査の方法
何を対象に検査するか?
血液や細胞,尿,便など,体の一部あるいは排泄物を用いて検査する検体検査と,体を直接・間接的にみる生体検査(心電図検査,聴診,触診,内視鏡検査,X線検査,超音波検査など)とがあります。
●具体的にどんな方法で検査するか?
それぞれの測定項目により異なります。血液検査などは,自動機器とそれに対応する試薬とで,短時間で複数の項目が測定されます。この自動機器は,同時に多くの人の検体を測定することができ,結果の処理まで自動化されているものがほとんどです。
測定の原理については,狂牛病の検査で有名(?)になったELISA(エライザ)法,市販の妊娠検査薬でも用いているイムノクロマト法などがあります。
3.健康診断で行う主な検査項目と基準範囲
[後藤由夫:成人病検診における判断基準.臨床検査 40 (13),1996]
○肥満・やせについて
BMI 〔男:20〜24,女:19〜23〕
※BMI(体格指数)は,([体重kg]÷[身長m]2)で算出する。男(女)で,26(25)以上は太りすぎ,17.5(17.0)未満はやせすぎ。
○糖代謝異常・糖尿病について
空腹時血糖 〔70〜109 mg/dl〕
尿糖 〔 (-) 〕
HbA1C 〔4.0〜6.0 %〕
○高血圧について
血圧 〔収縮期:90〜140 mmHg,拡張期:90 mmHg未満〕
○高脂血症について
総コレステロール 〔130〜219 mg/dl〕
HDLコレステロール 〔40〜80 mg/dl〕
中性脂肪(TG) 〔30〜149 mg/dl〕
心臓病(虚血性心疾患・不整脈)について
心電図検査 〔異常所見なし〕
○血液系の病気について
赤血球数(RBC) 〔男:430〜559×104/μl,女:380〜539×104/μl〕
血色素量(ヘモグロビン) 〔男:13.0〜17.9 g/dl,女:11.5〜15.9 g/dl〕
ヘマトクリット(Ht) 〔男:39〜52 %,女:34〜45 %〕
白血球数(WBC) 〔30〜89×102/μl〕
血小板数(PLT) 〔12〜39×104/μl〕
○肝臓・胆嚢・膵臓の機能障害について
GOT(AST) 〔35 IU/l以下〕
GPT(ALT) 〔35 IU/l以下〕
LDH 〔200〜400 IU/l〕
γ-GTP 〔50 IU/l以下〕
ALP 〔220 IU/l以下〕
総ビリルビン (T-BIL) 〔1.1 mg/dl以下〕
高尿酸血症(痛風)について
尿酸 〔2.0〜6.9 mg/dl〕
○腎障害について
尿素窒素(BUN) 〔8〜21 mg/dl〕
クレアチニン(CRE) 〔1.2 mg/dl以下〕
尿検査(蛋白・潜血) 〔 いずれも(-) 〕
○大腸ポリープ・大腸がんについて
便潜血反応 〔 (-) 〕
4.生活習慣病の基礎
●生活習慣病とは
疾病の発症や進行には,病原体や有害物質,さらに遺伝的な要素が影響しますが,食習慣,運動習慣,嗜好などの生活習慣も,糖尿病,高血圧,そして,日本人の3大死因であるがん,心臓病,脳卒中などの発症や進行に深く関わっていることが明らかになりました。これらの疾病は,従来は「成人病」と呼ばれ,早期発見・早期治療(二次予防)に重点がおかれてきました。「生活習慣病」とは,従来の対策に加えて,生活習慣の改善により健康増進・発病予防(一次予防)を推進するため,新たに導入された概念で,生活習慣が原因で起こる病気を総称して「生活習慣病」と呼ぶことになりました。
生活習慣病の特徴をまとめると,次のようになります。
★発症の初期はほとんど自覚症状がなく,長い年月にわたって徐々に進行する
★一人でいくつもの病気を持っていることが多く,また,いくつかの病気は密接に関連しあっている
★発症すると完全に治すことは難しいものが多い
★生活習慣の改善で予防できる
★健康診断で早期発見できるケースが多い
●生活習慣病にはどのようなものがあるか
○肥満
原因となる生活習慣 偏った食事,運動不足,不規則な生活(過労),ストレス過剰,過飲酒
肥満が引き起こす合併症 動脈硬化,糖尿病,高脂血症,高血圧,痛風,虚血性心疾患,脂肪肝
骨粗鬆症,変形性膝関節症,胆石,がん(子宮,乳,大腸,前立腺)など
○糖尿病
原因となる生活習慣 偏った食事,運動不足,不規則な生活(過労),ストレス過剰,過飲酒,喫煙
糖尿病が引き起こす合併症 糖尿病性網膜症,糖尿病性腎症,糖尿病性神経障害(糖尿病の三大合併症),
動脈硬化,高脂血症,高血圧,肥満,脳梗塞,脳出血,虚血性心疾患など
○高血圧
原因となる生活習慣 偏った食事(特に塩分のとり過ぎ),運動不足,不規則な生活(過労),
ストレス過剰,過飲酒,喫煙
高血圧が引き起こす合併症 動脈硬化,糖尿病,高脂血症,痛風,脳出血,くも膜下出血,脳梗塞,
心肥大,不整脈,虚血性心疾患,腎硬化症,眼底出血など
○高脂血症
原因となる生活習慣 偏った食事,運動不足,不規則な生活(過労),ストレス過剰,過飲酒,喫煙
高脂血症が引き起こす合併症 動脈硬化,肥満,糖尿病,高血圧,虚血性心疾患,脳梗塞,急性膵炎,脂肪肝,一過性脳虚血発作など
○高尿酸血症(痛風)
原因となる生活習慣 偏った食事(プリン体と呼ばれる物質を多く含む食品のとり過ぎ),水分不足,
激しい運動,不規則な生活(過労),ストレス過剰,過飲酒
高尿酸血症が引き起こす合併症 動脈硬化,肥満,糖尿病,高血圧,高脂血症,虚血性心疾患,脳出血,くも膜下出血,脳梗塞,腎機能障害,結石など
○虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)
原因となる生活習慣 偏った食事,運動不足,不規則な生活(過労),ストレス過剰,過飲酒,喫煙
これらが原因となり動脈硬化,高血圧,糖尿病,高脂血症,肥満,痛風を発症→虚血性心疾患へ
○脳卒中
原因となる生活習慣 偏った食事,運動不足,不規則な生活(過労),ストレス過剰,過飲酒,喫煙
これらが原因となり動脈硬化,高血圧,糖尿病,高脂血症,肥満,痛風,脳動脈瘤,一過性脳虚血発作,心臓病を発症→脳卒中
○がん
原因となる生活習慣 偏った食事,過飲酒,喫煙,ストレス過剰など
その他,化学物質,排気ガス,紫外線,放射線などもがんを引き起こす要因となる
○骨粗鬆症
原因となる生活習慣 偏った食事(特にカルシウム不足,コーヒーの飲み過ぎ),運動不足,過飲酒,喫煙,日光照射不足など
骨粗鬆症の予防のためには,カルシウムの吸収に必要なビタミンDを多く含む食品を積極的にとることも大切
5. 生活習慣病の予防のため注意すべきこと
●生活習慣病の予防のため注意すべきこと・1(喫煙・飲酒)
たばこは,それがもたらすニコチン,タール,一酸化炭素が体に悪影響を与えます。その結果,肺ガン,虚血性心疾患などのリスクを高めることになります。強い意志で禁煙を決断しましょう。
アルコールについては,過度に摂取すると,慢性肝炎をはじめ,さまざまな疾病を引き起こすリスクが高まります。適度な量(ビールなら大瓶で1〜2本,日本酒なら1〜2合が目安)の飲酒で「ほろ酔い初期」にとどめることを心がけましょう。また,週に2日はアルコールを休むことも大切です。
●生活習慣病の予防のため注意すべきこと・2(食習慣)
多くの人は,健康診断で基準範囲を外れる結果が出てから,食生活を気にし始めます。しかし,検査値が基準範囲内であっても油断は禁物です。普段から,次のような食生活を心がけましょう。
−野菜や海藻を多くとる。毎食,生なら両手一杯,おひたしや炒め物なら片手一杯程度の野菜・海藻を食べ,そのうち半分は緑黄色野菜とする。
−大豆製品を毎日,少なくとも納豆1パック分以上とる。
−油料理は1日2品までにする。
−DHAが豊富なサバやサンマなどの魚を多くとる。
−砂糖入りのジュース・コーヒーなどを控え,砂糖の摂取量を減らす。
−そば,ラーメンの汁は半分で残すなど,塩分を控える。
●生活習慣病の予防のため注意すべきこと・3(運動習慣)
健康づくりのためには運動が必要です。1日に10分程度でも構いませんし,週末の1日だけでもよいので,運動する習慣をつけましょう。まずは,自分の好みやライフスタイルに合わせて,続けられそうだと思う程度のことから始めてみましょう。
●生活習慣病の予防のため注意すべきこと・4(ストレス解消・休養)
現代社会はストレス社会とよく言われます。日常生活の中で,いろいろな状況がストレッサーとなって人間にストレスを与えています。適度なストレスはプラスになることもありますが,過度になると,様々な生理的反応が現われてきます。これらの反応は個人によって異なり,性格,物の見方,行動のしかたによって,反応の現われかたも違ってきます。ストレスに対処するため,リラックスできる時間を持つこと,物事をプラス志向でとらえることを心がけましょう。特に心身の疲れを取り除いてリフレッシュする休養は,ストレス解消に効果的で,健康づくりの要素のひとつです。
最後に,自分の健康は自分自身の責任で守ることが大切です。
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